エネルギーの消耗が少なく山を存分に楽しめるズール/ジェイドはどうして快適なのか
できるだけ快適なハイキングに
2023.05.02
体型を選ばず体に的確にフィットしながら、その柔軟性によって歩く動作を妨げない。そして、重い荷物を背負うのに必要なサポートを十分に備え、背中とパックの間を空気が自由に流れる仕様により通気性も確保。多くのハイカーに愛され続けているズール/ジェイドを背負えば、エネルギーの消耗を抑えて、山の中で過ごす時間を最大限に楽しむことができるはずだ。
体の動きに追従するフリー・フロート・ヒップベルト
ズール/ジェイドの快適性を支えている大きなポイントが、ボディラインに沿って自然に腰を包み込むフリー・フロート・ヒップベルト。ヒップベルトがパック本体、背面のメッシュと一体化した特許取得済みの構造により、ハイカーの体の動きに追従して旋回しながらパックの荷重を支える仕組みになっている。この仕組みの効果で、体とパックが一体化しているようなフィット感と、重い荷物を背負うのに必要なサポートが得られるのだ。
単純にパックを体に固定するようなヒップベルトの場合、強く腰を固定することで骨盤や脚の動きを妨げてしまう、ベルトがずれて腹部に上がってしまう、脚を上げる度にパック全体が傾いてしまうといったことが起こる。その結果、体が余計なエネルギーを消費することになり、長時間のハイキングでは疲労度に大きな差が生まれることになる。歩行時の腰回りや上半身の自然な動きに追従し、常に重心が安定しているから、ズール/ジェイドは快適なのである。
カスタマイズしたようなフィット感が得られるバックパネル
フィット感と通気性に優れたバックパネルもズール/ジェイドの特長だ。パネルはSM/MDとMD/LGの2サイズ展開(ジェイドはXS/SMとSM/MD)で、背面長は3.5インチ(約89mm)の調整が可能。サポート力を損なうことなく、自分用にあつらえたかのようなフィット感が得られる。同じ山を登る日帰りのハイキングでも、夏と冬では着用するウェアのボリュームが大きく異なるもの。そんな時にも、背面長の調整は役に立つ。1年を通じて、常に最適なフィットが得られるというわけだ。2種類のバックパネルサイズがあり、その長さの調整が可能なズール/ジェイドなら、あなたの体格にも間違いなくフィットするだろう。
テンションをかけたメッシュのパネルとパックの間には、隙間が設けられている。この隙間はいわば空気の通り道。背中とパックの間を空気が流れることで、熱が逃げ、蒸れは緩和される。「背中が汗で不快」という状況が起こりにくいのだ。高温多湿な日本の夏にハイキングを楽しむ際、この通気性の高さは大いに助けになってくれる。また夏に限らず、この機能は汗冷えの予防にもなる。ズール/ジェイドは、快適かつ安全な山旅をサポートしてくれるパックなのだ。
今作から背面のサスペンション・メッシュ・パネル構造が新しくなっている。前作は背面パネルとパックの間のサイド部分が完全な空洞だったが、その部分もメッシュパネルで繋ぐ構造にアップデート。荷重分散力が向上し、最大積載量(グレゴリーは快適に運べる荷物の重量をパックごとに公表している)の向上にも貢献している。
もちろんショルダーハーネスの部分も快適性が追求されている。通気孔を設けることで空気が流れるようになっており、ライフスパンEVAフォームの採用によってクッション性も確保。体への負担を軽減してくれる。
ビギナーも安心。充実の収納力と使い勝手の良さ
背負い心地の快適さに加え、収納力が高く使いやすい点もズール/ジェイドの魅力だろう。ヒップベルトのポケットは特大サイズで開口部も広い。スマートフォンは大型のものでも出し入れがしやすく、補給食などを入れておくのにも便利なスペースだ。
メインコンパートメントには、トップからだけでなくフロントからもアクセスできる。U字型のファスナーによって大きく開くことができるので、パックの下部に収納した荷物もスムーズに取り出すことができる。特にパッキングが苦手な人にとっては、必要不可決な機能と言えるかもしれない。
パックの両サイドにはストレッチメッシュのポケットを採用。ポケットにはマチがあり、大型のウォーターボトルも収納しやすい設計となっている。細かな部分ではあるが、マチがないサイドポケットの場合、メインコンパートメントが荷物でいっぱいの場合、収納力が限定されることになる(逆にサイドポケットに荷物を入れることでメインコンパートメントの積載量を減らすことも)。ポケットにマチがあればその心配がないのだ。
男女別設計。だからズールとジェイドがある
メンズモデルのズールは、30・35・45・55リットルの4モデルがラインナップ。一方、ウィメンズモデルのジェイドは28・33・43・53リットルの4モデル展開となる。
その違いはカラーや容量だけに違いがあるわけではなく、実は設計自体が異なっている。バックパネルのサイズはズールがSM/MD、MD/LG、ジェイドがXS/SM、SM/MDと大きさが異なっている。ショルダーハーネスの長さやカーブ形状も異なり、ジェイドは女性のバストにストレスがかからないよう、外向きに大きなカーブを描いている。またヒップベルトもジェイドは女性の骨盤サイズに合わせた設計になっている。バックパネルサイズやウエスト部分などの設計を女性用にしたのに合わせてパックの大きさも微調整され、その結果、ズールとジェイドで容量に差が出ているというわけだ。
できるだけ快適にハイキングをしたい、なるべく疲れずに山旅を楽しみたい。そんなハイカーは、ぜひ一度ズール/ジェイドを試してみてほしい。
Text: FUMIHITO KOUZU